理解していて当然の百選掲載判例を全て読む。
答案で書けるようになるために、判例はこう読む。
考査委員がはっきりコメントした判例学習の必要性
実務家登用試験である司法試験及びその予備試験では、短答、論文いずれの試験、科目でも判例についての知識と理解があることを前提に出題がなされます。「平成23年新司法試験の採点実感等に関する意見」においても、「判例への言及」や「判例を踏まえた論述」が求められると指摘され、しかも「判例の結論だけを暗記するのではなく」とあることから、事案に即して判例の論理を分析的に検討する学習が必須とされます。
しかし、時間及び記憶の点で現実に押えられる判例の数には限界があります。そこで、単純に「百選掲載=重要」と捉え、思い切って押える範囲を百選に絞り込み、そのトレードオフとして掲載判例を全てツブすことに命をかけるのが本講座です。
百選掲載判例を全て読み切り。本講座で必ず完走できます。
しかし、判例百選は百選とは名ばかりに掲載判例は200 を優に超えるのが通例であり、全掲載判例を最後まで読み切れる方はほとんどいません。しかも、単に読むだけでなく、考査委員が求める事案に即した分析的な検討を行いながら読み進めるのは、独学では困難です。
そこで、本講座では、判例学習指導に長けた講師が伴走者となり、掲載各判例について、事案の特殊性、判旨のポイント、解説で読むのはここだけ等、押えるべき重要部分を絞込みながら、各判例の意義を理解するためのワンポイント解説を行い、最後まで完走できるよう講義します。
百選を完全征服して、判例について自信をもって本試験に挑みたい方には必聴の講座です。
≪講師メッセージ≫
多くの受験生が判例百選を何度も読んでいるにも関わらず、なぜ、司法試験の採点実感等では毎年受験生の判例の知識・理解の不足が指摘され、特に平成23年度の憲法の採点実感ではかなりの怒りを込めて指摘されるのでしょうか。それは、受験生は読めていると思っていても、実は司法試験考査委員からすると全く読めていないからです。
例を出してみましょう。薬事法判決ですが、受験生の中には、この判決は二重の基準論及び目的二分論を採用し、積極目的規制・消極目的規制というキーワードがポイントであると理解している方がかなりいます。もちろん、そのような解釈が有り得ないわけではないですが、しかし、薬事法判決を素直に読むとそのような目的二分論云々とはどこにも書いてありません(実は、現在この判決について目的二分論を採用したと解釈する考えはかなり少数です)。そのような抽象的で浅い読み方ではこの判決が持つ本当の意味を理解したことにならないのです。判例の「キーワード」「キーフレーズ」なるものを抜き出して覚えも、判例を本当に読んだことにはなりません。その判例が事実をどう分析し何を重視し、いかなる理論に立って、何を述べているのか。その判旨の背後にある考えをしっかり検討する必要があります。そうしないと、判例と問題の事案の差に着目して論述する等、考査委員が求めている操作ができません。
しっかり判例を読む勉強をするために、判例の読み方の感覚というものを身につける必要があります。そのための作業は、現在の自分にない力を身につけようとする作業であり非常にハードです。しかし、同時に非常に知的に楽しい作業でもあります。また、判例をしっかりと読むことは答案練習と違いあまり実戦的でないように思う方もいますが、実は答案が書けるようになるためにも不可欠の学習です。なぜなら、ドイツ語を読めない人は、当然ドイツ語を書くことはできないのと同様、判例という法律的文書をしっかりと読めないのに司法試験答案と言う法律的文書を書けるはずがないからです。この講座を通じて判例がしっかり読めるようになれば、答案が書けるまではあと一歩です。
講義は、決して楽ではありません。ここだけ押さえて覚えておいてくださいと言うようなものでもありません。判例の一言一句をしっかりと検討し、何を言っているのか。なぜこのようなことを書いているのか。なぜこのように言えるのか。判例のこの抽象的言葉はなにを指しているのか。こういった問題を、皆さまと一緒に考えていくものです。高度の思考訓練にもなるような非常に内容の濃い講義となるでしょう。
判例の読み方、そして究極的には法律的なものの考え方をマスターし、司法試験に合格し、しっかりとした実務家になりたいという方はぜひお越しください。
(2017年実施講座)
【講師】宍戸博幸
【時間】12
【教材】●刑事訴訟法判例百選〔第10版〕(有斐閣)
※各自ご用意ください。